動画レッスン

サーランバ・シールシャ・アーサナ(ヘッドスタンド)

サーランバ・シールシャ・アーサナ(ヘッドスタンド)動画解説

このアーサナが学べるクラス: RYT200 ヨガファウンデーション・コース

アーサナ名の解説

サーランバ:サポートされた

シールシャ:頭

詳細な解説

今回は「アーサナの王様」とも呼ばれるサーランバ・シールシャ・アーサナ(ヘッドスタンド)を取り上げます。このアーサナはリラヨガのクラスでも毎回人気の高いアーサナです。サーランバ・シールシャ・アーサナは見た目にも非常にヨガっぽく、その効果の高さでも有名です。

胸と頭の位置が上下逆になる逆転の姿勢は頭部への血流を促進し、脳内の毛細血管にこびりついた汚れを浄化します。この浄化作用によって脳内にスムーズに血流が流れるようになると脳の諸機能が整い、末端へと適切な情報が伝達されるようになります。私は配管洗浄剤の”ジャバ”に作用が似ていることから、これを逆転のアーサナの“ジャバ効果”と呼んでいます。

脳の深い部分にある視床下部が支配する自律神経の働きが正常になることで、循環器系、内分泌系、消化器系の働きが整い、体内の環境は人間が本来生物として持っているあるべき理想の状態に戻っていくのです。また大脳辺縁系の機能が整えられると、思考がクリアになり、いつまでも若々しく明晰な頭脳を維持することができます。

このように非常に効果の高いサーランバ・シールシャ・アーサナですが、慣れないうちはバランスをとるのが難しく、首にも負担がかかりやすいので、注意が必要です。しっかりと順を追ってポーズを深めていくことで、初心者でも無理なくこのポーズをマスターすることが可能です。

最初のうちは壁を使うのをためらわないでください。怪我の多くは壁を使わずに倒れてしまったときに発生します。まずは壁を使ってこのアーサナを行うのに必要な筋力とバランス感覚を養うことから始めましょう。壁を使うことで不要な恐怖心を取り除くこともできます。壁を使って行っても壁を使わないで行った場合と得られる効果はほとんど変わりません。

行い方

準備のポーズ

ポーズを行う前にまず準備のポーズで十分に身体を温めましょう。ここに掲載したアーサナを行う前にスーリャ・ナマスカーラ(太陽礼拝)とアドー・ムカ・シュワーナ・アーサナ(ダウンワード・フェイシング・ドッグ)、ウッティタ・トリコーナ・アーサナ(三角のポーズ)を行うことをお勧めします。ウッティタ・トリコーナ・アーサナはハムストリングスをストレッチすると共に、サーランバ・シールシャ・アーサナを行うために必要な首の筋力を手に入れるのに役立ちます。

プラサーリタ・パードッターナ・アーサナ(立位の開脚前屈)

腰の重みを利用して後ろに引いた足の腸腰筋をストレッチすることができます。後ろ足の甲を下ろし、親指の付け根の辺りにしっかりと重心を乗せます。後ろ足の腿の付け根は内旋を意識的に強めてください。この股関節の内旋が腰への負荷を弱める働きをします。前足は親指の付け根を踏み込みます。吐く息と共に尾骨を落とし、恥骨をすくい上げ、吸う息と共に胸を引き上げ、三角筋の内側を後方に開きながら両腕を後方へ伸ばしていきましょう。

シャシャンカ・アーサナ(ウサギのポーズ)

両手を背中の後ろで組む前に顔の横に手を下ろした状態で首の筋肉を十分にほぐします。首の筋肉を整え、強くすると共に、プラサーリタ・パードッターナ・アーサナ同様逆転の状態に身体を慣れさせるのに役立ちます。慣れたら両手を背中の後ろで組み、胸を開く感覚を身につけていきます。

ステップ1 壁を使って行う方法

慣れないうちはまずこの壁を使って行う方法で練習しましょう。

十分に身体が温まり、準備が出来たら土台を築きます。前足は膝を折り、脛を横に倒してかかとお押し出しつま先を返します。後ろ足はアンジャネーヤ・アーサナ同様まっすぐ後方に伸ばし足の甲の親指の付け根にしっかりと重心を乗せます。この後ろ足の意識が後ろ足の股関節の内旋をサポートし、腰部への負荷を軽減してくれます。呼吸を深めながら、吸う息と共に胸を引き上げ肩を後方に引き、吐く息と共に尾骨の先端を両腿の間にすくい入れ恥骨を引き上げていきます。下腹部は終始引き締め続けましょう。

正座になり、かかとのあった位置に正確に頭頂部を下ろします。次に両手で後頭部を包み込みます。両肘は肩幅になるまで引き寄せましょう。頭頂部、両前腕の側面が土台になります。土台全体に均等に重心を乗せ、腰を持ち上げます。この時、みぞおちの辺りを壁に向かって押し出し胸の前を十分に開いておきましょう。膝は曲がっていても構いません。

壁に足を歩かせるようにして腰の高さまで足を持ち上げます。この時引き続きみぞおちの辺りを壁に向かって押し出す意識を強めましょう。この意識が胸を開かせ、呼吸をスムーズに保つのに役立ちます。最初のうちは慌てずにしばらくこの姿勢を維持し、逆転の状態に十分身体を慣らしてください。もし息苦しくなったり、負荷が強いと感じたりしたらいつでも足を下ろし、チャイルド・ポーズでお休みしましょう。

安定したら片足ずつ交互に天井に向かって伸ばしていきます。伸ばした足はかかとの内側を特に意識して天井に向かって押し上げてください。補助者がいない場合は倒れる危険が高いので、この段階でストップしましょう。補助者がいる場合は、補助者に上げた足の足首をつかんでもらい、その足の足首に壁に押し当てている足の足首を引き寄せるようにして、壁に押し当てている足を引き上げます(完成形)。

ステップ2 壁なしで行う方法

ステップ1に十分慣れたら壁なしで上がる方法を試します。写真では壁がありませんが、最初のうちは必ず背中側が壁のすぐ側に来る位置で行って下さい。

ステップ1と同じ要領で、正座の状態から正確に頭頂部を下ろし、両手で後頭部を包み込みます。両肘は肩幅以上に広がらないよう注意してください。腰を持ち上げ、足を顔のほうに歩かせながら、耳、肩の中心、腰の中心が一直線上のラインに並ぶようにします。このときみぞおちの辺りを膝のほうに押し出すことで胸の前を十分に開放しておくことを忘れないようにしてください。

腰が肩の上まで来たら片足を天井に向かって押し上げます。この時押し上げた足のかかとの内側を特にしっかりと押し出して下さい。さらに押し上げた足の脛に、下りている足の脛を引き寄せるようにして、下りている足を引き上げていきます。この上がり方が一番負荷の少ない上がり方です。慣れてきたら両足を同時に引き上げても構いません。

完成形では頭頂部と前腕全体に均等に重心を乗せたまま両足裏のうちかかとを天井に向かって押し上げていきます。”ジャバ効果”によって脳内に多量の血液が流入し、脳を浄化します。呼吸が乱れたり、頭部や首へ少しでも痛みや違和感を感じたりしたら、無理をせずにすぐ下りましょう。足を下ろしたらすぐに起き上がらず、チャイルド・ポーズで5呼吸以上姿勢を維持してください。頭部に流入した血液が全身に戻っていくのを待ちます。

ポイント

  1. 慣れるまでは必ず壁を使う。
  2. 頭頂部を正確にマットに下ろし、肘は肩幅以上に広げない。
  3. 完成形ではかかとの内側を天井に向かって押し出す。