東京学芸大学・自由が丘 - ヨガインストラクター資格養成スクール

ポジティブの種子

こんにちは、リラヨガ・インスティテュートのディレクター、乳井真介(にゅういしんすけ)です。

今回はポジティブシンキングの重要性についてお話ししたいと思います。今から2000年前に成立したとされるヨーガの根本経典『ヨーガ・スートラ』には、私たちが豊かで満ち足りた人生を過ごすために必要なさまざまなヨーガの教えが記されていますが、その中にこんな一節があります。

「否定的想念によってかく乱された時は、反対の想念が念想されるべきである。それがプラティパクシャ・バーヴァナである」
ヨーガスートラ2.33

サンスクリット語でポジティブシンキングを「プラティパクシャ・バーヴァナ」と言います。「物事の見方がネガティブになってお先真っ暗になったように感じる時は、ポジティブシンキングをしなさい」、上記のスートラを意訳すれば、そんな意味になります。ヨガの根本経典が生み出された今から2000年以上前の昔から、人類がポジティブシンキングという概念を持っていたことはちょっとした驚きに値します。これは、それだけ昔から、多くの人間がネガティブ思考に陥りやすかったことの裏返しなのでしょう。

前回のブログでもご紹介した通り、物事のネガティブな側面に目を向けることは、いち早く危険を察知し、遺伝子を残すうえで役に立ちます。これが多くの人がネガティブな思考に陥りやすい理由です。しかし、ネガティブな思考はストレスを生み出し、ストレスは自律神経の働きを乱し、ガンをはじめとするさまざざまな病気を生み出します。ガン、心疾患、脳疾患という3大疾患が、乱れた食生活とストレスに起因して発生することは医学的にも証明されています。ネガティブな思考に陥った時に物事のプラスの側面に目を向けかえることができれば、ストレスは消え、免疫機能は正常に戻り、私たちは真の健康を維持することができるのです。

私の大好きな昔話にこんな一節があります。

その昔 、 あるところに非常に息子思いの老婆がいた。老婆の二人の息子のうち一人は傘屋を、もう一人はぞうり屋を営んでいた。老婆は晴れた日は傘屋の息子のことを思い、「 こんなに晴れていたら傘が売れなくて
困るだろう 」 と心配をした。そして雨の日はぞうり屋の息子のことを思い、 「 こんな雨の中ぞうりを買いに来る客はいない だろう 」と心配した。こうして晴れの日も雨の日も二人の息子のことを心配していた老婆は
いつも元気がなく、日に日に老け込んでいった。そんな老婆の様子を見かねた近所の寺の住職が 、ある日老婆に声をかけた 。「あなたは大変息子思いのようだから、一つこういう風に考えてみたらどうかな。晴れた日 はぞうり屋の息子のことを思いなさい。晴れた日には多くの客がぞうり屋に足を運ぶでしょう。雨の日は傘屋の息子のことを思いなさい。雨の日には多くの客が傘屋に足を運ぶしょう。そうすれば晴れの日も雨の日も息子さんを心配せずにすみますよ」と。

ネガティブな側面とポジティブな側面のどちらにフォーカスするかによって、全く同じ状況が逃げるべき状況にもなれば逃げる必要のない状況にもなり得ます。今回の新型コロナウイルスの蔓延は、一見するとネガティブの塊に見えてしまうかもしれませんが、少し見方を変えればポジティブな側面を見つけることが可能です。では、新型コロナウイルスの蔓延にどのようなポジティブな側面があるのか、一つ一つ見ていきましょう。

1.マスコミは基本的にネガティブである

マスコミは毎日のように新型コロナウイルスへの感染者数や死者数を報道していますが、そもそも新型コロナウイルスに感染せずとも、毎日多くの方が亡くなっています。下記のデータは厚生労働省が発表した2018年の死亡者数とそのうちわけです。

データはこちら

昨年亡くなった方はおよそ136万人ですが、これは一日平均でおよそ3700人が死んでいる計算になります。このうち日本人の死因として最も多いのがガンの37万人ですが、一日平均で1000人がガンで亡くなっている計算になります。このブログを書いている時点で日本国内で新型コロナウイルスで亡くなった方の総数は約100名ですが、その3700倍近くの方が毎年ガンで亡くなっているのです。

しかし、マスコミは毎日1000人ほどの人たちがガンで亡くなっている事実には一切触れず、新型コロナウイルスというセンセーショナルな話題ばかりを扱おうとします。なぜならマスコミは危険をいち早く察知したいという遺伝子の性質上、私たちがネガティブな話題、特に死についてのセンセーショナルな話題に飛びつくことを熟知しているからです。昔話の老婆のように、毎日亡くなっている3700人のうち、常にどの死が一番センセーショナルなのかに目を光らせ、その日一日最もネガティブなニュースを報道し、私たちの不安を煽るのがマスコミという媒体です。「○○さんが感染しました」という感染者数増加のニュースは積極的に報道しても、圧倒的多数を占める「○○さんが回復しました」というウイルスに感染したにもかかわらず、早期に回復した方のニュースはほとんど報道されることはありません。マスコミのネガティブな報道に踊らされないためには、自分自身の目で冷静にデータを読み解くことが重要です。今私たちに求められているのは、無闇に不安になってパニックに陥ることではなく、落ち着きを持って現在目の前で起こっていることを冷静に俯瞰する眼力なのです。

今一度現在の新型コロナウイルスの感染状況を見てみる

いま世界で実際のところ何が起きているのか、データから正しく読み解けるようになりたい方は下記の書籍を読んでみるといいでしょう。いかに私たちがマスコミによるネガティブなデータの操作に踊らされているかがお分かりになることでしょう。

 

2.苦しい時は成長のチャンスである

先ほどご紹介したヨガの根本経典『ヨーガ・スートラ』には「タパスによって心身の不浄が浄化され、超自然力が得られる」という一節があります。“タパス”は日本語に訳すと“苦行”という意味になります。「超自然力」というのはまだ手にしていない新しい力のことです。苦しみを経験することによって人はまだ手にしていない新しい力を手に入れることができる。ヨーガではそう考えます。

自分の許容範囲の内にある事態に対処している時は余力があるので苦しみは生じません。しかし、自分の許容範囲の外にある事態に対処しなければいけない時、そこに軋轢が生じ人は苦しみます。その事態が自分の許容範囲の外にあればあるほど苦しみは大きくなることでしょう。しかし、厳しい生存競争の中で身につけた適応能力によって私たちは少しずつ許容範囲の外にある事態に適応していきます。筋肉が強い負荷によって肥大し、その負荷に対して適応するように、苦しみを経験することで次第に私たちの許容範囲は広がっていき、初めは許容範囲の外にあった事態が許容範囲の中に取り込まれていくのです。そして、どこかのタイミングで初めは許容範囲の外にあった事態がすっぽりと自分の許容範囲の中に収まる瞬間がやってきます。その時、以前は自分に苦しみをもたらしていた事態はもはや苦しみの対象とはならなくなります。

今回の新型コロナウイルスの蔓延をきっかけに、今多くの人が自分自身の健康へのあり方を見直そうとしています。免疫機能を高めることの重要性をここまで痛感したのは、人類全体にとって初めての経験かもしれません。今回の騒動を機に、飲酒や喫煙、肉食の習慣を見直し、よりヘルシーでオーガニックな食事を求める人がたくさん現れることでしょう。新型コロナウイルスや地球温暖化による異常気象は、私たち人類が現在の自己中心的な生活を見直し、一段高いステージへと昇るための筋トレのようなものだとしたらどうでしょうか?

働き方に関しても、今回多くの企業がテレワークに変更せざるを得ない状況に置かれたことで、一気にオンライン化の流れが加速することでしょう。当校も新型コロナウイルスの蔓延によって大きな打撃を受けていますが、これを機に、早速、現在開催予定の指導者養成講座の全授業をオンライン化し、受講できるようにする準備に取り掛かかりはじめました。2年前より開催している日本統合医学協会認定「メディカルヨガインストラクター養成コース」では、業界に先駆け、いち早くオンライン授業を取り入れてきましたが、今回の騒動がなければ2,3年先延ばしにしていたであろう授業の全面オンライン化が一気に進みそうです。

山登りをする時、困難な上り坂を上り切ることで初めて頂上にたどり着くことができるように、私たちも困難な事態に直面した時、しっかりと正面から向き合い、乗り越えていくことで初めて成長できます。私たちがあまりに上り坂に足を踏み込むのを拒み、平らな道ばかり進もうとしていると、時々神様がぽんと私たちの背中を押して「ここで登っておきなさい!」とカツを入れたりします。新型コロナウイルスの出現によって仕事が減ったり、職を失ってしまった方は、今までの自分自身の仕事に対するアプローチを大きく転換する絶好のチャンスです。企業や政府、誰かの力に頼ることなく、自ら道を切り開いていくための手段とツールは今の時代世の中にたくさん溢れています。今回の騒動が収束した後、人々の考え方は大きく変わり、まったく新しいサービス、まったく新しいビジネスが世の中に求められるようになるはずです。ポジティブな人たちはもうコロナ後の世界を見つめてどんどん準備に取り掛かっています。時代を先読みして、世界の大きな流れを読み解いていけば、今この瞬間からやれることが沢山あるのです。

ネガティブシンキングから抜け出し、これまでの自分自身の仕事に対するあり方を大きく変え、成功したいと思った方は、下記の本を読んでみることをお勧めします。すべての成功哲学の原典と言われている本で、私が知っている優秀な経営者はほぼ全員この本を読んでいます。

3.死を見つめ直す

先ほどのデータでご紹介したように、新型コロナウイルスの蔓延がなくとも、日本国内だけで毎年140万人近くの方が亡くなっています。これは毎日3700人の方が亡くなっている計算になります。私たちは普段健康に生きていると、死とは無縁の生活を送っているように見えますが、実際のところ誰の人生にも常に死が隣り合わせであるというのが真実なのです。たとえ、新型コロナウイルスに罹らずとも、明日何かしらの事故で亡くなってしまう可能性は、誰の身にもありえます。新型コロナウイルスの蔓延によって、日常が脅かされ、今多くの人々が自分や家族の死におびえていますが、これを機に、普段深く考えもしない「死」をよく見つめ、人はなぜ生まれ、なぜ生き、なぜ死んでいくのかという、根本的な問いに答えるための練習をしてみるのはどうでしょうか?おびえてばかりでは何も始まりません。我々誰もがいずれ経験するであろう、最悪のネガティブな事態に思えるこの「死」の深奥を見つめ、どうポジティブにとらえられるようになるか。実はこれこそヨガ哲学の神髄であり、ヨガ実践の醍醐味でもあるのです。次回のブログでは、誰にとっても究極のネガティブであるように思える死を、ポジティブに捉え直すためのヒントをご紹介したいと思います。

 

昔話の老婆のように、マスコミの報道に踊らされ、他人を批判をし、いつまでも目の前の世界のネガティブな側面に目を向け、嘆いてばかりいるだけでは何も始まりません。物事のネガティブな側面に目を向けるか、ポジティブな側面に目を向けるか。世界は自分自身の心のあり方一つで変わるのであるという事実を思い出しましょう。ポジティブ思考の人は多くの人が老婆のように悲嘆に暮れている間にも、どんどん今自分にできる行動に取り組み始めています。よく目を凝らして、一緒にポジティブの種子を見つけてみませんか?雨雲の背後では今日も空が美しく晴れ渡っています。

乳井真介

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