今月のヨガ哲学小話番外編〜渡邉武智先生の小話
リラヨガインストラクターがクラスの冒頭で話すヨガ哲学の小話をご紹介するこのコーナー。今回はリラヨガシニアインストラクターの渡邉武智先生の小話をご紹介します。
2000年前に成立されたとされるヨーガの根本経典『ヨーガスートラ』。この経典の中には私達の生活を、より幸せに過ごす為のヨーガの教えが記されています。
経典の中に「否定的想念によって撹乱された時は、反対の肯定的想念が捻想されるべきである。これがプラティーパクシャ・バーヴァナである。」と記されています。
プラティーパクシャは反対の想念という意味になります。
ここで言う反対の想念というのは否定的の反対なので肯定的のことを指していて、バーヴァナは念想という意味になります。
なので「プラティーパクシャ・バーヴァナ」は日本語で「肯定的想念の念想」になり、英語では「ポジティブ シンキング」という意味になります。
ネガティブ シンキングをしてしまい苦しい時は、ポジティブ シンキングをしていきましょうと説いているのです。
この世界に存在する全ての物事に言える事は、必ず否定的な側面と肯定的な側面と言う二面性が存在するという事です。
私達は自分の望んでいる出来事の時には、簡単に肯定的な側面を見い出す事が出来ます。
ですが、ひとたび望まない現実が差し出された時は、目の前が真っ暗に見えて否定的な側面ばかりが際立ってしまう事が多いのではないでしょうか?
なぜなら私たちはネガティブに物事を捉えることで自分の身を守っていると考えることもできます。
厳しい自然界を生き抜く動物たちもネガティブに捉えることで天敵から身を守っているのです。
ですがネガティブに考えすぎてしまうと一切身動きが取れなくなってしまい、人生の可能性がとても狭まってしまいます。
なので苦しい時は逆のポジティブシンキングをするべきだとヨーガの賢者は説いているのです。
もしも私たちが最悪に思える困難な現実に直面したとしても、そこに隠されているポジティブな側面を見つける事さえ出来れば、私たちの人生の豊かさは大きく広がってくるはずです。
例えば、「発明王」とも称され、生涯に1,300もの発明と技術革新を行ったトーマス・エジソンで考えてみましょう。
彼は実験でうまくいかなかった時に
「私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ。」という名言を残しています。
一見無意味に思える実験の失敗も違った視点で見てみれば、成功への道標にもなるのです。
困難な現実をポジティブに捉える事が出来たからこそトーマス・エジソンは歴史に名を残す偉大な発明王になれたのではないでしょうか?
私は小学3年生の頃に鼻をほじるのが癖で、実はそのままハナクソを隠れて食べていました。
それが親と学校の先生にばれて「汚いからやめなさい‼︎」とよく怒られていましたが、なかなか癖が直りませんでした。
そんなある日、学校のギョウ虫検査で私が引っかかってしまいました。
どうやら犬猫の糞尿の混じる公園の砂場で遊んだ手で鼻をほじり、そのまま汚い手でハナクソを食べたせいで寄生虫の卵がお腹の中に入りふ化してしまったのです。(T ^ T)
先生と親には「ハナクソなんか食べているからでしょ‼︎」とこっぴどく怒られました。
図書館に連れて行かれギョウ虫の図鑑を見せられました、するとそこには気色の悪い寄生虫の写真が載っていました。
私は自分のお腹の中に得体の知れない虫がいると思うと怖くていてもたっても入れませんでした。ホラー映画のようにいつかお腹を喰いちぎって出てくるのではないかと思うと夜も眠れませんでした。
とても悩んでいることを親友に相談をすると直ぐにクラスメイトにばらされ、しばらくの間私のあだ名はギョウ虫野郎でした。
今回の件で私も流石に懲りて、それ以降ハナクソを食べなくなりました…。
大人になり今悩んでいることがあります。
じつは私の息子達(8歳、4歳、2歳)3人がハナクソを食べているのです。
はじまりは長男で、それを見ていた弟達がお兄ちゃんの真似をしてハナクソを食べ始めたのでした。
子供達に注意をしたら長男はそれ以降ハナクソを食べなくなったのですが、弟達は鼻をほじればパブロフの犬の様に自動的にその手が口に行ってしまいます。
ハナクソを食べる息子達の姿を見て私は悩んでしまいました。
子供達が病気になったらどうしよう…友達にイジメられたらどうしよう…だとか。ネガティブな感情がとめどなく溢れ出て苦しくなりました。
後日、私は子供達の主治医にハナクソの事を相談してみることにしました。
病院に行きこれまでの経緯を先生に伝え、息子達の悪い癖をどの様に直したらいいか相談しました。
すると先生は「私もハナクソ食べてましたよ」と言いました。
続けて「子供はハナクソを食べるぐらいがちょうどいい!ハナクソは天然のワクチンの様なものだから食べても別にいい!チンパンジーもゴリラも食べているから大丈夫!」と理解しがたい事を言いました。
私は信じる事が出来ずにいたので家に帰りGoogleで調べてみる事にしました。
すると確かにハナクソを食べる事で、免疫力を向上させる事ができるという研究結果が出ているではありませんか!
それから私は主治医がポジティブ シンキングをするヨーガの達人に思えてきました。
思い返してみると息子達はほとんど風邪をひいた事がありません。インフルエンザが大流行し長男のクラスが学級閉鎖になった時も本人は元気100倍でピンピンしていました。
家族全員がコロナに感染した時も息子達は一瞬で熱が下がりすぐに完治しました。
息子だけではなく私も思い返すと、とても健康体で大きな病気にかかる事なく生きて来ました。インフルエンザも1度しかかかった事がありません。
主治医の言う通り、これもハナクソのお陰なのかも知れないという事に、この件を通して気づく事ができました。笑
それからは生活の中で望まない事が起こったとしてもネガティブに物事を捉えるのではなく、ポジティブな側面を探す努力ができる様になりました。
すぐに落ち込みやすい自分の性格が大きく改善できた事で目の前の世界の見え方が明るいものへと変化しました。
私たちの多くが望まない事が目の前で起こった時、否定的な側面ばかりを見てしまい頭を抱え苦しんでしまいがちです。
ですが一見最悪に思える困難な現実の中にも肯定的な側面が隠されているはずです。
まるで幾多の失敗を成功への近道と信じ大発明を成し遂げる偉大な発明王トーマス・エジソンの様に
ポジティブ シンキングで目の前のピンチを人生のチャンスに変換していきましょう!