東京学芸大学・自由が丘 - ヨガインストラクター資格養成スクール

今月のヨガ哲学小話〜山中祥子先生

リラヨガ・インスティテュートの一般クラスの冒頭でインストラクターが話すヨガ哲学の小話を紹介するこのコーナー。今回は毎週月曜日10:30〜12:00に開催されている入門クラスを担当する山中祥子先生の小話をご紹介します。

 

今から約2000年前に成立されたとされるヨーガの根本経典『ヨーガスートラ』には私たちの悩みや苦しみをポジティブにとらえ、人生を豊かにしていく為のヨガの教えが沢山記されています

今日はその中から「タパス」という教えについてお話しします。「タパス」とは、苦行と訳されます。苦行とは自分が苦手な事や、嫌だなと感じる事を避けずに、あえて行っていきましょうという教えです。

この苦行を乗り越えた先には「身体と感覚の不浄が消える」とヨーガスートラには記されています。苦手な事を避けている時ってなんとなく後ろめたい気持ちや、引け目を感じたりしませんか?忘れようとしても、頭の片隅にふと浮かんでモヤモヤとする瞬間がありますよね。そういったものも、タパスをに向き合う事でスッキリとなくなります。

そして、タパスの最後には【超自然力が得られる】と記されています。最初は苦しみだった事が、いつのまにかすっかり当たり前のように出来るようになり、その事が自分の一部になります。

筋トレがとてもわかりやすい例えかと思います。最初から筋トレが好きな方は多くないはずです。しかし、理想のボディを手に入れるため
とか、健康のためとか、アーサナをもっとできるようになりたい!と言った時には筋トレは必要になります。

やらなきゃ!と思いながらも避けているとずっと頭の片隅にあるし、その事を考えると気が重く、やる気も出ない。でも、あえて重い腰を上げて筋トレに向き合い続けると、最初は少ない重りも重たく感じていたのに、だんだんと、少ない重りは簡単に持ち上げられるようになります。そして、次のステップへ続く可能性が広がります。

人生も同じで、苦手な事や嫌なことがあっても向き合い続ける事で自分の器を広げ、人生の可能性が広がっていくのです。

私の話になりますが、3年前長男を産んだ前後とても体重が増えたことがありました。

それまでは体重50キロをずっとキープし続けるために毎日ランニングとヨガ、寝る前には全身アロマトリートメントを欠かさず行っていたのですが、コロナが始まり、フリーランスで活動していたヨガのクラスもパーソナルトレーニングの仕事も全てストップしました。

元々私は、家でゴロゴロしながら映画を見るのが大好きです。公に認められて何もするな!と言われたら大喜びで、長年封印していたゴロゴロダラダラする日々を盛大に満喫し始めたのです。すると、気がついたらあっという間に10キロ増量していました。

そんな中妊娠し、ツワリで動けないところから
もっともっと毎日海外ドラマやアニメを見まくり異常な食欲に身を任せ最高な毎日を謳歌しました。すると、あっという間に更に10キロ増量していたのです。体重計で70キロのメモリを見たのは人生で初めてでした。

そして、無事出産したのですが、生まれたら、3キロ分は赤ちゃんだから・・・と思っていたのに全くメモリは変わらずでした。そうなると、とにかく身体が重くて重くて何をするにも大変でした。

まず、スーパーで店員さんに欲しいものを聞いて案内してもらっても店員さんの足が早すぎて追いつけません。道ではお爺さんに追い抜かれるし、わずか3キロの息子を抱っこして床から立ち上がる事が出来ず、少し階段を登るだけで息が切れる始末。産前の服はどれも入らず、とりあえずドンキホーテでXLサイズの服を数枚買って、スウェットばかり着て過ごしていました。まさに生きる事全てが苦行になってしまったのです。

しかし、私はこれまでの人生でずっと続けられた事はヨガのインストラクターとスノーボードだけなんです。ずっと学び続けてきた人体のこと、ヨガのこと、海外まで行って体得したスノーボード。このまま全てをなかったことにはできない!と、ゼロからというより、マイナスからリスタートするために、リラヨガ・インスティテュートでRYT200を取得する事に決めました。

そこからも更に苦行でした。基本ポーズも5秒ホールドするだけで息切れしてしまい、お腹のお肉が邪魔で体が捻れないし、逆転系のポーズなんて体が重たすぎて全く上がりません。家での練習では、一つアーサナをやってはシャバーサナです。自由自在に身体を動かせていた頃にはもう戻れないのかもしれないと落ち込んだ時もありました

でも、そんな事を繰り返しながら、RYTのコースも進んでくると少しずつ、体の感覚が戻り始めたのです。お腹を使う感覚、四肢に力が入る感覚が戻ってくると、一気にできるアーサナの数が増え集中する気持ちよさも思い出す事ができました。

いつの間にか、店員さんの早足にもついていけるようになったし、おじいさんを追い抜けるようになり、それまで息切れしていたポーズをずっとキープしても息切れしなくなりました。猛ダッシュでスーパーまで買い忘れたいた餃子の皮を買いに行くこともできるようになりました。そして気がつけば、1年で15キロの減量に成功していたのです!

これらの経験から、今では産後のボロボロの身体の辛さ、体重が増えてしまった人の大変さ、
今も自分ではどうして良いか分からずに頑張っている人たちの気持ちがよく分かるようになりました。そして、すぐに結果が出なくても、困難に向き合い続けることで未来が切り開けることを身をもって知る事ができました。インストラクターとしても1人の人間としても、一回り大きくなれたなと感じた出来事でした。

みなさんも今日は、慣れ親しんだ自分という安全圏を飛び出し、正面から困難に向かい合うことで、まだ知らない新しい自分の可能性を見つけに行きましょう!

 

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